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monologue
< または日記 の・ようなもの >
1999.03


99/03/30
 夕方、九段下で、ゲームデザイナーのキム皇くんと会う。彼とは7年ぶりくらいの再会だ。かつては「週刊少年ジャンプ」の人気連載企画『ファミコン神拳』で一緒に仕事をしていたから、しょっちゅう顔を合わせていたんだけど、最近はぼくがゲーム関係の仕事から離れてしまったので、すっかりごぶさたしていたのだ。それが先日、キム皇がうちのHPのゲストブックに書き込みをしてくれたことから、連絡をしてこの久々の再会となったのである。
 彼の事務所で、彼が製作したドリームキャストの新作ゲーム『WEB MYSTERY 予知夢ヲ見ル猫』(確か4月22日発売と言ってた)を見せてもらう。実写映像に、仮想のホームページや電子メールによってもたらされる情報などがからんで来て、主人公の青年が連続殺人事件の謎を解いていくという不思議な物語だ。ゲームというよりはインタラクティブノベルとでもいうべきもので、韓国&香港ロケを敢行したりと、実際、へたなVシネマよりは遥かに予算をかけているという。
 この作品についてキム皇は、「実写ものは(現在は)あまり売れないんだけど、今後の可能性はあると思っている。これはそのパイロット版とでもいうべきものなんだ」と熱く語っていたが、確かに新しい試みに満ちた意欲作であった。
 ここですぐにぼくがキム皇と一緒に仕事をするという話だったわけじゃないんだけど「ぜひ一緒に何かやれることがあったらいいね」と言って別れたのであった。いや、実際は別れはせず、タクシーを飛ばして六本木へ向かい、キム皇行きつけのクラブへ向かったのだった。そういえば『ファミ神』の頃は、毎月(月イチ連載だった)こんなことをしてたっけナァ。仕事の後は必ず六本木。それも朝までコース。キムちゃん変わってないなぁ(笑)。

 ところで、最近、この monologue の書き込みの1日の分量が、以前にくらべて長いと思っている方もおられると思う。これはひとえにゲームデザイナーで後輩の柴尾英令くんの、「黒沢さん、ぼくは一応毎日立ち寄ってるんですよ。なるべく更新を増やしてください〜」というリクエストによるものである。以前は、気が向いたときになるべくシンプルに(せいぜい3行程度で)書くという方針だったんだけど、そうもいかなくなってしまったわけ。柴尾くんは今は『レガイア伝説』を完成させてからのんびりと充電期間を過ごしているため、また忙しくなるか、ぼくの日記に飽きるかするまでは、恐らく毎日アクセスしてくださるに違いない。その間は「今日も柴尾くんが見ている」という沈黙のプレッシャーに押しまくられながら、ひたすらに更新を続ける日々が続くことになる。現在のレンタルサーバーの容量は MAX100MB だから、文章だけならほとんど無限に書き続けられるしね。ヒー(汗)。
 因みに柴尾英令くんのホームページへはお友達リンクのコーナーからどうぞ。そこにも毎日更新がポリシーの彼の DIARY があります。

99/03/29
 自宅にこもって終日「MANGAオールマン」の原作を書く。深夜、ふとセブンイレブンで100円で売ってるミニリングドーナツが欲しくなって自転車で買いに出るが、品切れである。仕方なく別のセブンイレブンへ。しかしそこにも置いてない!! そうなるともうどーしても欲しくなり、はるか遠方の3軒目のセブンイレブンでようやくゲット。ふー、よかったー。これで仕事が続けられる。
 昔、まだコンビニなどない頃に、故・手塚治虫先生が、深夜に急にチョコレートが欲しくなって、スタッフに「何としてもチョコレートを買って来てください。でないと1ページも描けません!」と言って駄々をこねたという話がある。そのスタッフは、お菓子屋さんを叩き起こして何とか売ってもらったとか。なんかその手塚先生の気持ちわかるなァ。
 馳星周もテレビで「昔は甘いものなんてほとんど食べなかったのに、小説を書いていると、やたらチョコレートとか甘いものが欲しくなったりするんですよ。きっと頭が糖分を欲してるんでしょうね」とか言っていた。
 ぼくはこのおふたりのようにハードに仕事をしてるかというと、そんなことはないんだけど、元々甘党だからね。コンビニがない頃は、お菓子の買いだめは当然として、深夜に急に甘いものが欲しくなっても困らないように、どこの自動販売機にどんなドリンクがあるかなんて、かなりチェックしてたもんね。

99/03/27
 夕方、ワセダミステリクラブのOB&現役による、第2回もんじゃツアーが開催された。…が、30分ほど遅れて出席したぼくに、席につくなりいきなり冷たい視線が浴びせられた!! snap photo

99/03/26
 新宿で、ミリタリーまんが家の小林源文氏と編集者M氏、H氏と飲み会をする。この日の話題は、ミリタリーコミック業界で陰謀家として親しまれているライターのK・D氏のことに終始した。K氏の企む陰謀の特徴は、“非常にわかりやすい”ということである。どのくらいわかりやすいかというと、ある日突然、ぼくの自宅にこんなファックスが送られてきたりする。
 黒沢さん、宮本(某雑誌編集長・仮名)に「K(彼自身)が怪文書をまき散らして、某雑誌(仮名)に対してサボタージュを行っている」と吹き込みましたね。もうバレてますよ。
(中略)
 こうなったら、最低限の自衛権を行使するしかありません。宮本が私を殺す前に、私が宮本を殲滅します。
(中略)
 尚、私はコンバット作家として、それ相応のスキルを持っていることをお忘れなく。証拠も痕跡も一切残さず、人一人くらいは消すことが出来ます。これは脅迫ではありません。あくまでも自衛権の行使に過ぎません。そこのところをよく御理解いただきたいと思います。
 証拠も痕跡も残さないけど、このファックスは残っているという…(笑)。
 因みに、こんなふうに私信を公開することに眉をひそめる方がいらっしゃるかもしれないので付け加えておくと、K氏は自分があちこちに発信したファックスや手紙が業界中で回覧されていることを知っており、また回覧されることを期待して書いておられるので、まったくノープロブレムなのである。
 そしてK氏は今日もまた、バドワイザーのCMのカエルのようにうめきながら、湖のように深い陰謀を企み、誰かにファックスや怪文書を送りつけているはずである。そんなK氏がぼくは大好きだ。

99/03/24-25
「小学三年生」のまんがのシナリオを書く。内容がインターネットの話なので、仕事中は回線を繋げっぱなしである。何だか便利なようなNTTに貢いでるだけのような…。ぼくは普段は仕事にはスタンドアローンの(つまりインターネットに繋がっていない)ノートパソコン(FMV BIBLO 475NL/T : Windows3.1+MS-DOS6.2/V)を使ってて、趣味とインターネットと調べ物のあるときだけデスクトップ(digital Celebris 590改 P5/166MHz : Windows98)を使ってるんだけど、最近、デスクトップの方で仕事をすることも多くなってきて、何だか仕事と趣味の境界線が曖昧になってきているのであった。

99/03/23
 神保町の小学館で「小学三年生」編集の塚原氏、まんが家の山下たかひろ氏と打ち合せ。 snap photo

99/03/18-22
「MANGAオールマン」に掲載予定の『HAIKARA事件帖』第3話のプロットを練る。前回、前々回と、原作の分量が多すぎたっていう反省があるので、今回はシナリオをいかにスリムにするかが最大の課題だ。もちろんストーリーの密度と情報量は犠牲にしないでだ。というわけで、かなり手間取ってしまったが、何とかまとまった。プロットが完成するときには、ある瞬間に、フッと1つのアイデアが浮かんで、それを加えることでバラバラだったストーリーの断片が一気に1本にまとまるという場合と、アイデアの断片が15パズルのように1つずつ整列していって最後に1つのストーリーになる場合がある。今回はその後者のケースなのであった。けど…ほんとはもう完成してなくちゃいけないんだよねー。

99/03/17
 近所の映画館で、映画『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』を見る。 snap photo

99/03/16
 午前中から夜まで、西新宿の某プロダクションにおじゃまして資料本を読ませていただく。午前中は新企画社編集長の渡辺くんも同行した。 snap photo

 夜、車で近所の古書店へ資料探しに行く。そこでまた超能力本を入手した。 snap photo

99/03/13
 車で近所の古本屋へ行き、資料探しをする。そこで今日の目的以外の別の収穫があった。最近、むかし一度手放してしまったあるジャンルの本をまた集め直しているのだ。その本っていうのは… snap photo

99/03/11
 14:00、神保町の小学館「小学三年生」編集部で、編集の塚原氏と打ち合せ。帰り際「今日はデジカメ撮らないですか?」と言われてしまった。そうなのだ、最近、持ち歩いててもつい撮るのを忘れてしまうんだよねー。でもって「あ、撮ります撮ります」と言って撮らせていただいたんだけど、なんと今度はそのデータをデジカメからパソコンに移すときにうっかり削除してしまった!! がーーーん。申し訳ない。他意はありませんので。塚原さん!!

 15:00、神保町で資料を買い歩く。その中で一冊、ある洋書の邦訳本を探していたんだけど、なかなか見つからず。結局、あきらめて帰ろうとしたときに、岩波ブックセンターに置いてあった出版目録をチラッと見たら、何と、探していたのとは別の邦題で出版されていることがわかった。そしてめでたく購入。よかったよかった。

 17:00、神楽坂の日本出版社で、社長と打ち合せ。

 18:00、早稲田のスタジオハードで「コンバットコミック」編集長松田氏と打ち合せ。

99/03/10
 11:00〜18:00、西新宿の某プロダクションにおじゃまして、終日、資料本を読ませていただく。資料本といっても全てまんが、それも主にぼくがまんがを読みはじめる寸前の昭和30年代前半の作品が中心で、ほとんどが初めて読むものばかりだからとてつもなく楽しい。けど、いくら役得とはいえ仕事ですから、あとでこれを活字にまとめなくちゃいけないわけで、そのプレッシャーはかえってすごいものがある。

 ところで、その事務所近くの十二社交差点に、ちょっとした歴史的な建物があるのをご存知だろうか。 snap photo

99/03/05
 夕方、北海道から上京して来た友人たちと新宿御苑で食事をする。行った店が「Restaurant METRO de PARIS」というフランス料理店で、しかもフランス留学から一時帰国している人が同席していたもんだから、ちょっとぼくが暴走してフランス映画の話題をしつこく振ってしまった。
「パリのメトロといえばH・G・クルーゾーの『恐怖の報酬』だよねー。イブ・モンタン演じる主人公が大事に持ってるメトロの切符がさー。あっ、それから忘れちゃならないのがルイ・マルの『地下鉄のザジ』。これはもう必見だよねー。ザジを演じたカトリーヌ・ドモンジョがさー(……以下延々……)」いやはや済まんです。

99/03/04
 15:00、新企画社編集長・渡辺くんと一緒に西新宿の某プロダクションにうかがい、単行本企画の打ち合せをする。ぼくにとっては今年の目玉になりそうな大きな仕事なのだが、刊行は早くても秋。収入は来年という仕事なので、その前にレギュラーの仕事を決めておかないと、その前に日干しになってしまふのだ。うーー。

99/03/01
 確定申告書の提出のため、税務署へ出頭(この言葉がよく似合う?)する。お役所はどこもいかめしいけれど、この時期は税務署の職員もものすごく愛想がいい。そりゃそうだろう、税金をおさめていただく大切なお客さんなんだからね(笑)。ぼくは還付申告なのだが。

 しかし実は、今年は申告書の提出だけじゃなくて気の重い用事もあったのだ。昨年暮れに、何と2年も前の平成8年度のぼくの確定申告のミスを指摘する通知が来ており、それに対する追徴課税と延滞税の件で税務署とちょっとモメていたのである。そのため、申告書提出のあと、葛飾税務署 個人課税第一部門(審理指導担当)上席国税調査官 佐川隆生(仮名)などといういかめしい肩書きの名刺の人から詳細な説明をうかがったのである。
 追徴課税に関してはぼくの明らかな申告ミスだったのですぐに支払ったが、納得いかなかったのは延滞税の方だ。昨年暮れから電話で話をしていた下っ端の鈴本(仮名)という職員の説明が全く要領を得ず、どうしてもその課税システムに納得がいかないのだ。ところが鈴本はただ「決まりですから」を繰り返すだけ。挙句の果てに「わずか2000円くらいのものですから」といった言葉に俺は切れた。「金額の多寡ではない。こうなったら1円だって払うものか」といきまいていたのだが、佐川氏の説明をうかがって、そのシステムが、現場の鈴本が説明したものとまったく違っていることがわかった。そしてそれならば納得できるものだったので、最終的にはぼくも気持ちよく(?)延滞税2400円を納めて帰ってきたのである。
 所得税というのはただでさえ難解で複雑なシステムなのだから、税務署は末端まで教育を徹底して、一般人にも誤解のないような説明をしてもらいたいものである。あとは人間教育だね。


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