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GUNS&ミリタリーおもちゃ箱

第15回:香港おもちゃ事情'95


▲セーラームーンとドラえもんの、純金製プレート・指輪・ブローチなどのアクセサリー。指輪が7000円くらいから。ガラスと照明が反射してしまった。失礼。
いまや中国製おもちゃが花盛り!
香港トーイはどこへ行った!?
海運大廈内トイザらスの鉄砲玩具売り場。写真を撮ったら、すぐに店員が飛んできて「No Picture!(写真はダメ!)」と怒られたが、英語が通じないふりをして、ジャパニーズスマイルで切り抜けた(笑)。

まず玩具反%l城で最初の収穫があったが…

 先日、香港へ行ってきた。第1の目的は観光だけど、他の国でなくて香港だったのは、もちろんコレクションを充実させるためだ。てなわけで、今回は香港の最新おもちゃ事情をお届けしよう。
 香港は今回で3度目。最初に行ったのは10年前だ。その時は海賊版コミックをたくさん買って来た。次に行ったのは3年前で、この時は、当時日本にはほとんど入っていなかった、パームトップPC(手のひらサイズの超小型パソコン)を買うのが目的だった。
 さて、今回はどんな収穫があるだろうか…。期待に胸ふくらませて最初に向かったのは、尖沙咀(チムサアチョイ)のスターフェリー乗り場横、海運大廈(オーシャンターミナル)内にある、玩具反%l城(トイザらス)だ。

▲海運大廈内トイザらスで買った、全長67cmのU.S.A.PARRIS社製カービン銃。ストックは木製でメカ部分は鋳物製。銃身は断面がC環状の鉄製パイプだ。引き金を引くと、本体に内蔵された鋳物製の歯車が回転し、ギョワギョワという音が出る。海運大廈内トイザらスで約670円(傷だらけのため特価だった)。帰国してから落ち着いて見ればホントにただのおもちゃなんだけど、金属パーツが多いので空港で何か言われるんじゃないかとヒヤヒヤした。


▲英国ALLAN ABEL社ブランドの歩兵と戦車玩具セット。写真を拡大

 ここではアメリカ製カービン銃と、中国製ミニ兵士人形&戦車のセットを入手。銃は写真の他にもまだ種類があったのだが、どれもさんざん遊ばれたあとのように傷だらけで、おまけに千五百円以上する。あきらめて見本にいちばん安いやつを1丁だけ買うことにした。
「しかし、アレがないなぁ…」
 とつぶやくぼく。実は、ぼくは初めて香港旅行をしたときから、ずっと探し続けているものがある。それは…そう! Made in Hong Kongとクレジットされた、あの香港製の駄玩具なのである。
 昭和30〜40年代、夜店や駄菓子屋で売られていた安っぽいミニおもちゃや、ケロッグコーンフレークのおまけのミニプラモなどに刻印されていたMade in HongKongのクレジット。昭和30年代生まれにとっては、このクレジットには特別の感慨があるはずだ。
 しかし、これがまるで見つからない。あれは元々輸出専用のおもちゃだったとしても、今や日本でも「もしやこれは香港製では!?」と思って駄玩具のクレジットを見ると、たいていは中国製となっている。あの、安っぽくてケバくて、そのくせ精巧でちょっといかがわしかった香港トーイは、いったいどこへ行ってしまったんだろうか。

▲信和中心のロシアングッズ専門店で買った、旧ソ連製だという潜水艦の置き物。プラ製でかなり安っぽい。博物館のおみやげか何かだろうか。


▲その潜水艦の台座裏にロシア語の紙片が。けど意味がわからん。誰か読んでくれ!


旧ソ連製のミニ8輪装甲車。表面の迷彩色はもちろん、なんとベース色も筆塗りされている。

おもちゃのロシア→
香港ルート発覚か!?

日本以上にマニアックでディープな場所とは!?

 さて、そうして姿を消したチープな香港トーイで遊ぶかわりに、今、香港キッズはどんなホビーライフをおくってるのか、というと、すでに知ってる人は知ってるだろうが、実は今香港では日本以上にオタク文化が爆発してるのだった。
 ガレージキットからUFOキャッチャーのぬいぐるみ、カードダス、果てはプレミアものの超合金まで、香港には、およそありとあらゆる日本のマニア系おもちゃ(とそのコピー品)が氾濫してるのだ。あとはコスプレが上陸すれば完璧だ(もうすでに上陸してたりして…)。

▲旺角の信和中心(マップ1参照)内にあるロシアのミリタリーグッズ専門店内。写真に写っている以外ではライフルスコープが豊富でお買い得。軍用時計は一時ボストークという名で日本でも流行ったが、それ以外の種類も多数あったぞ。値段も手ごろなのでそちら方面のファンは必見だ。
 そんなディープなホビー文化に出会うためには観光地のメインストリートにあるおもちゃ屋へ入ってもだめ。目指すは旺角(モンコック)にある信和中心や銅鑼灣(コーズウェイベイ)の銅鑼灣中心などである。両方ともそれらのマニアショップが何店も寄り集まったショッピングビルなのだ。旺角駅周辺には他にも小さな店がいくつかあるのでぜひ探索しよう。
 信和中心は今や一部の香港フリークにとってはメッカとなってる場所で、今回はここでロシアのミリタリーグッズ専門店を発見した。収穫は写真を。予算が許せばハインドのミニチュアや軍用トラックのミニカーなども買ったのだが…。

パソコン&TVゲーム関係のジャンクも山盛り!!

 香港は電脳(コンピュータ)フリークにとっても天国だ。数年前まではIBM−PC互換機と呼ばれるパソコンが、日本の7〜8割の値段で買えたので、パソコンファンが大挙して買いに来た時期がある。だけど今では日本での価格も下がったので、わざわざ香港まで買い出しにくるウマミはあまりなくなってしまった。

▲92年秋にオープンした旺角電脳中心は、九龍半島の突端・尖沙咀から地下鉄で3駅目の旺角にある(マップ1参照)。最近は、ハードはそれほど安くないが、怪しいソフトならザクザクある。ただし違法性の高いものもあるので要注意!

▲旧ソ連製のミニチュアカノン砲。鋳物製で全長213mm。
細部までよくできてる。

▲銅鑼灣中心(マップ2参照)で買ったペーパーナイフ。
全長15mm鞘付き。握りの形がミョーでとても使いづらい。約520円。
 むしろ、今は、日本には入ってこないような珍しい海外ソフトを買ってきたりする方が楽しいだろう。
 今回は買ってこなかったが、台湾に上陸してきた某国軍隊を迎え撃つ≠ニいう、まるで小林源文氏の『バトルオーバー北海道』を思わせる台湾製シミュレーションゲームなども売っていたぞ。
 ただし、こうしたショップには、違法性の高いコピーソフトも横行している。
 コピーソフトは、パソコンだけでなくプレイステーションや3DOなどゲーム専用機のものも売ってるが、まともに動かないものも少なくないし、ウイルス混入の危険性もあるのでくれぐれも注意。それでも欲しい人は、上図の旺角電脳中心や、地下鉄深水渉(シャムスイポー)駅前の高登電脳中心などのパソコンショップビルへ行こう。これらは小さなショップが1つのビルの中に何軒も集まった場所だ。でももちろん購入は各自の責任で行うこと。パソコンショップビルは他にも銅鑼灣の皇室堡電脳廣場や、尖沙咀のスターフェリー乗り場前星光行(スターハウス)内の星光電脳城などがあるけど、ここには怪しいソフトは置いてなかった。
 怪しいといえば、かつては香港は台湾と並んで日本のまんがをまんまコピーした海賊版コミックが有名だったが、今は露店で売られているまんが(香港では雑誌は書店ではなく露店で買う)も、ほとんどが正式な出版許諾を取ったものだ。ただし値段もそれなりで300円以上するから、ちょっと手が止まってしまう。
 この著作権を尊重する流れはやがてホビーの世界にもおよぶだろう。そして1997年、香港は長いイギリス植民地時代を終えて中国に返還される。「全てが変わるだろう」「いや、何も変わりはしない」など、様々な意見が飛び交っているが、少なくとも今の怪しさが爆発したホビー文化は、確実に変化していくに違いない。その前にぜひもう1回、いや10回は香港に行かなければ!!

付録:香港ミリタリーホビーマップ!!
マップ1:旺角駅周辺マップ2:銅鑼灣周辺


※取材した'95年9月上旬の換金レートは、1HK$13円でした。本文中では、その価格で日本円に換算して表記しています。

(「コンバットコミック」'96年1月号掲載)

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