『学校の怪談』 (1995年 東宝=サンダンス・カンパニー提携作品)

製作/藤峰貞利、高井英幸
監督/平山秀幸
脚色/奥寺佐渡子
原作/常光徹、日本民話の会
撮影/柴崎幸三
音楽/Fuji-Yama、諸藤影彦、山崎茂之
美術/中澤克己
出演/野村宏伸、遠山真澄、米澤史織、杉山亜矢子、佐藤正宏、笹野高史、余貴美子
カラー ビスタビジョンサイズ 101分
 今夏に第4作目が公開される『学校の怪談』シリーズの第1作目。実はぼくは最初に劇場で『3』を見て、けっこう気に入って(笑)そのあとすぐにテレビで『2』を見て、そして今回初めて第1作目を見たのだ。
 見る順序がまったく逆になってしまったが、全話を通してみると、各話でそれぞれ強調する部分(見せ場)が変わっているだけで、実はどれも同じパターンで構成されていることがわかる。
 古い校舎に閉じ込められた生徒と先生が、迫りくるお化けから必死で逃げながら脱出口を探す。途中“いい幽霊”が生徒たちに力を貸してくれるのも毎回同じ。ここまでワンパターンなのに、それぞれ別の味わいの作品に仕立ててしまったのは、それはそれで才能と言うべきだろうけど、しかしねぇ…もうちょっと変化をつけてもよさそうなものに、とついつい思ってしまうけどね。
 登場するお化けたちは幽霊なのか妖怪なのかはもとより、そこに存在している理由や人を襲う意味などについてはまったく示されない。言うなれば「お化けが出てきてキャーッ!!」的な単純ビックリ箱映画なのである。
 元ネタが、“トイレの花子さん”などの子供たちの“怖いウワサ”だから、それをぜんぶ放り込んだらこうなったのはわかるけど、音楽室でベートーベンやモーツァルトなど楽聖の幽霊たちがオーケストラを組んで演奏しているなんてのは、まったくナンセンスそのもの。校舎裏に放置されていたハニワを壊したから幽霊が暴れ出すというのも、幽霊との因果関係が不明でナットクいきません。「そもそも最初から“ビックリ箱映画”として作ってるんだから硬いことを言うなよ」と言われればそれまでなんだけどね。
 文句ばかりつけててもしょうがないからよかったところも挙げておこう。実際けっこう面白かったんだから。まず、旧校舎に閉じ込められた子供たちが、全員そろっていたのが逃げるうちにはぐれてバラバラになったり、また出会って集まったりと、絶えず組み合わせを変えて新しいグループを構成するのが、怖さに変化をつけて楽しませる部分だ。またビックリ箱とはいっても、いきなり飛び出して驚かせる幼稚な驚きはむしろ少なくて、それぞれのお化けの登場シーンに変化をもたせてきちんと工夫してあるところも評価できる。
 同じ年の夏に公開された松竹の『トイレの花子さん』が、きっちりしたストーリーとキャラクター設定を持っていたのとはまさに好対照で、どちらも独自のアプローチがあって共に水準以上の作品になっていたのは、子供たちの“怖いうわさ”ブームが生んだ収穫と言えるでしょう。
 1〜3までを比較すると、『学校の怪談2』がストーリーも演出もいちばん出来がよかったと思う。しかし、映画関係の友人から得た情報によると、何でも今夏に公開される『学校の怪談4』は、いままでのパターンをまったく覆して、本格的なホラーになるという。しかも主演の女の子がカワイイらしい(笑)。これはぜひとも見なくては!!

 あー、なんか今回、文章荒れてるっス。すまんス(汗)。

(1999/06/29)


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