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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 (2004年 アメリカ作品)


©2004 WarnerBros.Ent.
HarryPotterPublishingRights ©J.K.R.
原題/HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN
監督/アルフォンソ・キュアロン
製作/デイビッド・ヘイマン、クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ
製作総指揮/マイケル・バーナサン、カラム・マクドゥーガル、ターニャ・セガーチェン
脚色/スティーブ・クローブス(J.K.ローリングの原作に基づく)
撮影/マイケル・セレシン
美術/スチュアート・クレイグ
音楽/ジョン・ウィリアムズ
出演/ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、トム・フェルトン、ハリー・メリング
カラー ワイドサイズ 155分
 第1作第2作が日本でも大ヒットし、すでに期待値満点で公開されたシリーズ第3作。13歳に成長したハリーが、今年もホグワーツ魔法学校の新学期に出席する。1年ぶりに再会する同級生のロン(ルパート)とハーマイオニー(エマ)。しかし新学期早々、ハリーは不気味な情報を耳にする。ハリーの両親を死に追いやったという脱獄犯シリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)が、ハリーの命を狙っているというのだ。新任の教師ルーピン(デイビッド・シューリス)に魔法の防衛術を学ぶハリーだが、シリウスはすぐ近くまで迫っていた。
 オープニングシーンは、前2作ですでにお約束となっている、ハリーが居候している叔父さん一家にネチネチといじめられるシーンから始まる。このシーン自体は視覚的ギャグも散りばめて楽しめる展開となっているのだが、ハリーの家庭環境などについては全く説明がないので、前2作を見ていないと話が全く見えないので注意が必要だ。
 それ以後も、既知の人物として次々と新たなキャラクターが出てくるので、これはもう観客がほとんど小説の読者、あるいは前2作の観客であることを前提としたつくりとなっている。
 逆に言うと、そうした一見さんでない観客にとっては、余計な説明を省いて即座にこの作品世界に入り込める作りとなっているから、すぐに楽しめる展開であるに違いない。
 どうも曖昧な書き方になっていて申し訳ないが、ぼく自身がどうだったかと言うと、小説は未読だが、映画の前2作は見ているから一応人間関係は把握できていたのだが、いまいち作品世界に入り込む準備のないところから本編が始まってしまった感じで、前半は雰囲気に追いつくのにけっこう苦労した。
 しかしその後のストーリー展開は、前作のわりとありがちだった展開から脱却し、新鮮なアイデアがいくつも投入されていて楽しめた。特にハーマイオニーが時間を戻すペンダントを持っているという設定で、それを使って時間が2重になってストーリーが展開する部分は先が読めない面白さがあった。
 登場人物に関しては、ハリーやロンたちレギュラーの少年少女がそれぞれ成長し、グッと大人びた表情になっているのに最初は違和感があったが、すぐにそれにも慣れ、それぞれの堂々とした演技も頼もしく見えてきた。けれども、それを取り巻く世界観は前2作と変わらぬものなので、ここに年齢に見合った思春期の感情や人間的なドラマが入ってくると、ぼく的にはもっと面白くなってくるんだけど……ハリ・ポタファンはそんなのは見たくないのかな? 主人公たち3人の三角関係とか(笑)。
 それと、かつてハリーのライバルの不良としてかっこいい悪役を演じていた上級生ドラコ(トム)が、今回は情けないただのワガママ坊やとしてしか描かれなかったのはもったいない。彼のワルぶりは好きだったんですけどね。

(2004/07/04)


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