Top 柴又名画座 No.115 Back
『ジキル博士とハイド氏』 (1932年 アメリカ作品)

原題/DR.JEKYLL AND MR.HYDE
製作・監督/ルーベン・マムーリアン
原作/ロバート・ルイス・スティーブンソン
脚本/サミュエル・ホフスタイン、パーシー・ヒース
撮影/カール・ストラウス
美術/ハンス・ドライアー
出演/フレデリック・マーチ、ミリアム・ホプキンス、ローズ・ホバート、ホームズ・ハーバート
白黒 スタンダードサイズ 98分
 スティーブンソンの同題の恐怖小説の2度目の映画化。精神医学の分野で評価の高い青年医師ハリー・ジキル博士(マーチ)が、抑圧された精神を解放する薬を開発中に、自ら実験台となった薬で、凶悪な殺人鬼に変身してしまう。そして殺人鬼はハイドと名乗り、ロンドンの夜の街を徘徊するのだった!!
 ぼくはこれを小学生のころにテレビで見た記憶があり、それ以来なんと30数年ぶりの再見である。しかし子供のころに見た恐怖映画のインパクトはそうとう強烈だったようで、まさに記憶通りだったシーンがいくつもあった。
 エグい変身メイクによって、二重人格の男を見事に演じ分けたフレデリック・マーチはこの演技でオスカーを受賞。妙な小細工をせず、変身シーンはオーバーラップのみ。そしてあとは堂々たる演技によって二人一役を演じるいさぎよさはクラシック映画ならではの魅力である。
 また、博士の一人称でゆらゆらと揺れ動く不安定なカメラワークや、霧にけむるロンドンの雰囲気を見事に演出した美術など、優秀なスタッフのバックアップもこの映画を傑作足らしめていると言えるだろう。

 ところで、変身後のハイド氏の動きは、猿やゴリラの動きを参考にしているのだと思うのだが、その動きがジェリー・ルイスにそっくりなんだよね。最初の登場シーンではちょっと笑いそうになってしまったことを正直に告白いたします。

(2000/03/24)


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