『トレント大事件』 (1929年 アメリカ作品)

NO PICTURE
原題/TRENT'S LAST CASE
監督/ハワード・ホークス
原作/E・C・ベントリー
脚本/スコット・ダーリング
撮影/ハロルド・ロッソン
出演/ドナルド・クリスプ、レイモンド・グリフィス、レイモンド・ハットン、マースリン・デイ、ローレンス・グレイ
白黒 サイレント スタンダードサイズ 45分
※フィルムの1巻が失われているため、全長版ではない不完全版となっている。
 ある富豪が書斎で殺される。そこに居合わせた富豪の娘、娘の恋人、執事など全てが容疑者に思える中で、名探偵トレントが犯人の正体を暴く。
 原作はE・C・ベントリーの小説『トレント最後の事件』で、ぼくは原作を読んでいなかったのだが、同行したワセダミステリクラブの仲間によると、展開は小説とはかなり違っており、それも翻案ではなく、むしろ“パロディ”に近いものになっているという。
 しかし推理映画として見た場合、容疑者をひと部屋に集めて探偵が謎解きをしていくという、後の謎解き探偵物映画の基本的スタイルがすでにしっかりと確立している点は興味深かった。
 観客にはまず、被害者が自殺したかのように見せておき、あとから容疑者が二転三転していく展開も(若干性急ではあるが)飽きさせない。

(1999/12/16)


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