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2011年3月26日

大地震関連メディア雑感

 今日現在の時点で、原発事故問題もいまだ解決の糸口が見えないし、被災地も被災者の方々も現在進行形でご苦労されているところなので、まだまだ反省会などする状況ではないのだが、日々、進行していく事象が多く、のちのち忘れてしまいそうなので、黒沢の私的メモという形で、現時点での大地震に関するメディア報道などについての雑感などをまとめておこうと思います。
 多少、不謹慎かもと思う部分もございますが、暗くなりがちな日々を少しでも忘れたいというぼくの現実逃避でもありますので平にご容赦を。
 また仕事の方もバタバタしてまして、あまり推敲してないので文章も読みにくいかも知れません。その点もどうかご了承ください。ただし事実誤認や失言等がありましたらご指摘くだされば、ただちに訂正させていただきます。

 ところでその前に今日、所用で神奈川の方へ行ってきたんだけど、何だか東京より緊張感がない感じがしたんだけど、気のせいだろうか。我が家の自宅の周りもそうだし、先日打ち合わせに出かけた神保町なども、何となく東京は寒々というか殺伐とした空気が流れている感じがするんだけど、神奈川は電力不足の影響で閉店時間が早まっている店がいくつかあったくらいで、フツーの土曜日だったんですよ。ファミレスもフツーに賑わってたし。どっちがいいってわけじゃないんだけど、この違いは何なのかなって思って。まあ、東京の東端の葛飾区からは40~50km離れてるから少しは余裕があって当然かもしれないが。

【各テレビ局の対応についての雑感】
 今回、これだけの大事件となってテレビは地震直後から一斉に全社緊急特番やニュースを組んでいたわけだけど、詳しく見ていくと、各社の対応には大きな違いが見られる。
 まず速報が最も早かったのはやはりNHKだった。これはまぁ当然だろうか。地震が起きた時、ぼくは車の中にいたので、すぐにカーナビのテレビ(アナログ)をつけたわけだが、その時点で緊急速報を放送していたのはNHKだけだった。これについては、Youtubeにその瞬間を全チャンネルマルチ録画した動画がアップロードされているのでそれを参照していただきたい。

 その後も、地震発生後24時間くらいはNHKが他局にくらべて情報がもっとも早く情報量も多かったのだが、2日目、3日目あたりから情報の整理が追いつかなくなってきたのか、NHKが他の民放に遅れを取るようになってくる。NHKだけを見ていると確かにいろんなことを報道してはいるのだが、いま知りたい情報をタイムリーに伝えてくれない。NHKだけを見続けていると大事な情報を取りこぼしてしまうようになってきたのだ。どうしたんだ、しっかりしてくれよNHK!!
 そこでぼくは早々にNHKに見切りをつけて、チャンネルをしょっちゅう変えながら知りたい情報を流している局を探すようになった。

 まず精力的な取材をし、刻々と変わる速報に最も素早く対応していたのがTBSだ。それに次いでテレビ朝日。両局は独自取材や専門家を招いて詳しい解説を加えるなどしてくれたので早い時期から何がいま問題になっているのかを理解するのに非常に役立った。
 またこの2局はそれぞれTBSニュースバード朝日ニュースターというCSのニュース専門チャンネルを持っていて、こちらも今回は役立った。まずTBSニュースバードは東電や原子力安全保安院の記者会見をほとんどノーカットで生中継してくれるので、地上波がNHKも含めて被災地レポートや暢気なドラマなどをやっている裏で重大発表が行われているのも分かったり、地上波では省略されてしまう会見後の質疑応答の部分までが見られてひじょうに有用だ。また朝日ニュースターでは、原発の危険性などについて、現時点では地上波で放送できないような部分まで突っ込んだ解説がなされていたのも注目できる。
 両局ともここ数年はやらせ問題などの不祥事が相次いで、看板のはずの報道であまりいいところを見せられていなかったが、いざというときはさすがにその取材力や情報整理力が働いたということなのだろう。
 ただテレ朝についていえば、地震初期のころはまだ報道にもバラエティ色が残っていて、おどろおどろしさを強調したナレーションなどが耳障りだったが、これもすぐになくなった。

 そして残念ながら今回の地震報道に関していいところナシなのが日テレとフジテレビである。日本テレビは政府や原子力安全保安院などの記者会見を右から左へ報道するくらいで独自取材が少なく、いくら見ていてもまったく役に立たない内容だった。日テレ自身もそれを自覚したのか報道特番を早々に切り上げていちばん早くフツーの番組を放送し始めたのが日テレだった。
 またフジテレビはいつまでたってもバラエティ色というか野次馬根性が抜けず、東京のスタジオでアナウンサーやキャスターがこれみよがしにヘルメットをかぶってみたり、すわ計画停電というとアナウンサーが自らヘリコプターに乗り込んで停電地域を空撮実況したり、とにかくそのはしゃぎっぷりが痛い。

helmet_fujitv.jpg

 さらにぼくが問題だと思ったのは、原発事故発生当初、政府がまだノンキに楽観的な見方を示していたころ、フジでは悲観的な見方をする専門家を招いてスタジオで盛んに視聴者の危機感をあおっていた。ところが事態が本当にどんどん悪い方向へ向かっていくと、今度はスタジオのみんなで根拠のない楽観論を展開し「だいじょうぶですからみなさん、どうかあわてないで、冷静に対応してください!」とか言われても、ぜんぜん信用できないんですけど!!

 買い占め問題に関してはもう全局同罪ですね。各局が盛んに「スーパーから水と電池と牛乳と卵とカップ麺とレトルト食品とカセットガスが消えました!」とあおっておいて、後から「ものは充分にありますから!」とか「被災地へ送るのを優先してください!」とか言いだしても、その時はすでに店頭に物がなくなってるんですから手遅れですね。
 ちなみに東京のスーパーから物が消えたりガソリンがなくなったりしたのは、実は買い占めだけが原因じゃなくて、産地との物流が途絶えてしまったとか、工場や道路が被災して製造や物流がストップしていたとか、さまざまな要因があったのに、それを「買い占めなければ物はなくならない」と一元的に報道していたのもどうかと思いますね。

【ことば雑感】
 以下はメディアで報道された偉い人たちの言葉。これは決して失言ではない。やはりこういうときに人間の本質が出てしまうということなのだ。

2011/03/14
民主党仙谷由人代表代行

 13日夜、計画停電が病院や交通機関に与える影響を東電側に問い合わせたが、東電側から明確な回答がなく「ご不明な点はカスタマーセンターまで」と書かれた紙がファクスで送られてきたことに対して、、、
「俺を誰だと思っているんだ!」

※黒沢コメント:東電側の対応も、確かに仙谷さんをおちょくってるようにしか見えないけど、そこでこの言葉はないでしょう。ファミレスで380円のグラタンを注文した客が、注文と違う物が来てウエイトレスに「こっちは客だぞ、なんだその態度は!」と怒鳴っていたのを思い出した。ファミレスで。380円のグラタンで。

2011/03/22
海江田万里経済産業相

 東京消防庁の職員に対して(長時間の放水を)「実施しなければ処分する」と言ったとされる問題に対して、
「言った、言わないということをここでいうべきではないと思う」と前置きして「不快な思いをされたのであれば申し訳なく思っている」

※黒沢コメント:これはぜんぜん謝ってませんね。それに不快な思いをしたから謝って欲しいわけじゃなくて、この人がゴリ押しをした結果、放水車が1台壊れているわけだし、気分が悪いとかそんなレベルじゃない重大問題だという認識がいまだにないことも大きな問題だ。

2011/03/23
枝野幸男官房長官

葛飾区金町浄水場から乳児の摂取制限値を超えた放射性物質が検出された問題で、
「飲用基準を超えた水道水を数回にわたって飲んでも、健康にはまったく影響がない 」

※黒沢コメント:この無神経なひと言が東京に水パニックを起こしたのは間違いありません。金町浄水場から徒歩7分の場所に住んでるぼくがパニックになりましたから。だって数回飲んで影響がなくても、ここに住んでる限りは今後ずっとその水を飲み続けなければならないんですからね。10回飲んだらどうなるの、1ヵ月飲んだらどうなるの、と思いますよね! ぼくは焦って車で水を買いに行きましたよ。もう売ってなかったけど。

番外
菅直人内閣総理大臣

 地震発生1週間目と2週間目にマイクに向かって何かしゃべってましたけど、内容はまったく記憶にないのが実に悲しかった。はぁ......。シナリオライターがいたっていいし演技でもいいからもう少し心に響くメッセージが届けられないものかなぁ。政治的指導力がぜんぜん発揮できてないんだから、せめてそういうことで活躍して欲しいなぁ。一方、高校球児の開会のあいさつはぐっときたなぁ。内容的にはそんなに違ったことは言ってなかったと思うんだけど。

【坊主憎けりゃ......】
 そんなこんなでもうね、政治家や東電や保安院や、その他、グダグダなところはもう、一言一句、一挙一動がしゃくにさわったりするわけですよ。会見でニヤケているやつがいるとか、テーブルにヒジをついて会見する副社長だとか、わざわざ被災地にお詫びに出向いたのに体育館の地べたに座っている被災者に対して立ったまま頭をぴょこんとさげただけの副社長だとか。
 そもそも社長はどこへ行ったとか、そもそも総理はどこで何をしてるんだとか!

 ということで政治家はこんなところも叩かれる。
 ↓まずは蓮舫大臣のエリ立て。こんなときにオシャレをしてるつもりか! 不謹慎だ!! ってか。

ren4_01.jpg

 で、すぐにエリを立てるのはやめて、↓下の画像は、買い占めが起きているというコンビニを視察する蓮舫大臣。こんどは袖のボタンを留めてないのがネット民にチェックされてしまった。こういう作業着というのは、機械に巻き込まれたりして事故が起こる可能性があるから袖のボタンは必ず留めなければならないのだ。これ、別に工場で働く人だけじゃなくて、ぼくらの世代の男子は中学の技術家庭で必ず習うから常識なんだけど蓮舫大臣は知らなくてもしょうながいか。でも、だったら作業着を着る意味がないわけで、誰か教えてやれよ! というところですな。
 それとネットでは「買いもしないのにパンをいじくるんじゃねえ!」という声も聞かれました。

ren4_02.jpg

 そして↓下の画像は、そのコンビニ視察の最中に何を見つけたのか(または何かがないのを見て驚いたのか)、とにかくありえないほどの驚愕の表情をする蓮舫大臣。
 ぼくはコンビニにはもう何十年も通っているし、物が消えてからのコンビニにも行ったが、こんな表情をしたことは一度もない。
 ここで勝手に蓮舫大臣のセリフを想像してみると「ええっ!? 115円のカップ麺はひとつも残ってないんですか!? 215円の日清ごんぶとは残ってるのになぜみんな買わないんですか!?」とか言っているのだろうか。それに上の画像ではヤマザキのまるごとソーセージパンも山盛り残ってるみたいですけど。

ren4_03.jpg

 ↓おまけ。実は枝野官房長官もエリ立てをやっていた。しかしこちらはなぜかあまり叩かれず。蓮舫大臣の方が目立っていたからか。それとも枝野さんのエリ立てはあまりオシャレじゃなかったからか。確かに。

edano01.jpg

投稿者 黒沢哲哉 : 2011年3月26日 23:20

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コメント

ご無事なようで何よりです。

オイラもスタジオのキャスターがヘルメットをかぶっていることに違和感を覚えたモノです。照明器具が落ちてくるのかしれませんが、それなら記者会見に臨む閣僚も記者もヘルメットかぶらなくちゃ、と。
結局、コスプレだったのですね、あれは。
NHKの報道はややまどろこしいこともありましたが、被害のほとんどない地域に住んでいるので、それほどには・・・。
まったく申し訳ないほど、札幌や小樽は平穏です。

水道水については、大丈夫だというなら閣僚が揃って蛇口からコップに水を汲んで飲んで見せてくれ、と。

投稿者 おなら出ちゃっ太 : 2011年3月28日 12:33

>おなら出ちゃっ太さん
北海道も平穏で何よりです。
経済を活性化するためにぜひ爆消費してください(笑)。
水道水は、石原都知事が顔をしかめながら飲んでましたけどね。「んー、やっぱり東京の水はおいしいな!」かなんか言いながら。

まだまだ原発は心配でしょうがないですが、心配しててもしょうがないので、ぼくもそろそろ日常の仕事や生活を平常運転に近づけていこうと思っています。ただし昼間の電気消費だけは抑えないと、計画停電地域の人に申し訳ないですね。

しかし一方で、みんなで協力して節電しようというのはいいですが、真夜中にコンビニの看板を消すとか、深夜営業の店が営業を自粛するとか、そういう真夜中の節電はしなくても誰も困らないんじゃないかと思うんですケド、そのあたりがうやむやになっててメディアもそれについて何も指摘しないのはなぜなんだ! と思ったり。あ、これはもちろん今回の電力不足問題に起因する節電に限った場合で、この際だから生活習慣を変えてみんなでエコロジーに寄与しようというなら別ですが、誰もそんなことは言ってないし。

投稿者 黒沢哲哉 : 2011年3月29日 02:31

文章が読みにくいなどとんでもない。
とても分かりやすく表現されていて、一気に読ませていただきました。
僕もこんな感じで自分の考えを上手く伝えることができたら、どんなに人生が楽しくなるだろうかと、とてもうらやましく思います。

政治家の方々と東京電力(もちろん重役に限ってです)の言動には脱力するばかりです。
もう少し真剣に被災した人々の事を考えて欲しいものです。
取り合えずでもこの国のリーダーなんですから。

僕は今回の地震でメインの仕事が無くなり、計画停電の追い打ちでシオシオのパーな状態です。
まあ独立してからはピンチの連続なので苦境には慣れてしまいましたが‥ううう嫌だなぁ

また落ち着いたら是非食事でもご一緒させてください。

投稿者 いっつぁん : 2011年3月29日 15:09

>いっつぁんさん
ああ~、いっつぁんさんの家は計画停電地域ですか。
あれは本当に大変でしょうね。
昭和30年代までは台風とか工事とか故障とかでよく停電がありましたが、あのころ使えなくて日常生活に支障が出る電気製品は電灯と冷蔵庫とテレビくらいなものでしたからね。
それが今や電気がなければ仕事も生活も外出もできない! 夏にはもっと大規模な停電があるとか。。。大丈夫なのでしょうか。

仕事は、ぼくも今はとりあえず震災前に依頼を受けていた仕事をやっていますが、今後、仕事が今までのように来るかどうかは見えない状況です。ようやくリーマンショック以後の厳しい時期から抜け出てきたと思っていたころなのに。。。
しかしぼくも何度もピンチがありましたので、お互い、何とか乗り越えるしかないですね!

投稿者 黒沢哲哉 : 2011年3月30日 01:35

※スパムコメント対策のため、しばらくの間、コメントを承認後公開設定とさせていただきます。
投稿いただきましたコメントは確認後に公開させていただきますので、しばらくお待ちくださいm(__)m。