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2009年2月14日

ひさびさに毎週楽しみなTVドラマ2本

 ここ10年ほど、連続テレビドラマというものをほとんどマトモに見たことがなかった。アイドルタレントが主演するドラマにはまったく興味が湧かないし、たまに夏の終戦記念特番とかで面白そうな単発ドラマがあって見たとしても、結局肩透かしをくらうことがほとんどだった。
 かつては山田太一脚本のドラマは欠かさず見てたんですけどねー、ここ最近、山田太一は単発ドラマばかり書いていて、なぜかそれらにもあまり食指が動かず、見逃すことがほとんどだったのだ。
 それが、今、ひさびさに毎週楽しみなドラマができてビデオに録画して欠かさず見ている。それも2本!
20090214a.jpg 1本は山田太一脚本の『ありふれた奇跡』(フジテレビ、毎週木曜夜10時)。現在、第6話まで放送されているが、毎週、思いがけない展開が待っていて目が離せない。
 駅のホームで、中年男性の自殺を止めようとしたことがきっかけで偶然知り合った若い男女。彼ら三人を軸として、それぞれの家族の人生が描かれていく。山田太一は「連続テレビドラマの脚本を書くのはこれが最後」と語っていたそうで、それだけに、山田節の集大成のような物語になっている。全く違う人生を歩んできた人たちが、ある出来事をきっかけにそれぞれの人生に影響を与え、自分もまた変わっていく。
 山田太一というと、『ふぞろいの林檎たち』のようなメジャーコードの作品の方が、一般ウケはいいけれど、実はこうしたマイナーコードの作品にこそ、山田ドラマの真骨頂があるとぼくは思っている。毎回、ドラマチックな展開などまったくないのに、背筋がゾクゾクしてくるくらい画面から目が離せない。ピリッとして耳に残るセリフも多く、2回目に見るときには、メモしながら見ようと思っている。
 役者もそれぞれ適役で、八千草薫や井川比佐志などのベテラン陣はもちろんだが、主人公の母親役のキムラ緑子が自分勝手で家を飛び出したくせに母性を忘れていないという生臭い母親役を好演していて注目。仲間由紀恵も、『トリック』では、ふざけすぎた演技が鼻についてぼく的にはナシだったんだけど、今回は実にしっとりといい演技をしていて、山田脚本の独特のセリフ回しもうまく消化していて大好きになってしまいました。
 それにしても、こうした至高の脚本の職人芸を見せられてしまうと、人間を描くって難しいなぁと思います。


20090214b.jpg そしてもう1本は、ジョージ秋山のマンガを原作とした『銭ゲバ』(日本テレビ、毎週土曜夜9時)。もう30年も前の原作なのに、去年から始まった不況や派遣切りといった現代の状況に恐ろしいくらいマッチしていて、主人公・蒲郡風太郎(松山ケンイチ)のリアリティがものすごい。こちらは現在、4話まで放送されていて、明日の放送で5回目である。
 原作を最後に読んだのは、5年ほど前に復刻版コミックスを買ったときだから、ディティールは忘れてしまっているが、記憶ではかなりアレンジしてある。が、そこがまたうまく現代風のテイストと原作の味をブレンドしていていい感じになっている。
 それと、このドラマには特徴的なところがあって、スポンサーのクレジットが、第1話ではスズキとコカ・コーラの2社が出ていたのが、第2話からはコカ・コーラ1社になってしまったこと。番組中に入るCMの回数も極端に少なく、メインタイトルが出るのはなんと番組が始まって15分以上たってからである。その分、番組の最初と最後にまとめてCMを放送しているのだが、ネットでのウワサによれば、これはスポンサーが、番組内容のダーティーなイメージがかぶるのを嫌って、クレジットを外しているのではないかというのだが......。それが本当かどうかは知らないけど、そんなウワサが真実味を持つほどに内容はかなりエグいものになっている。
 現在、風太郎はようやく大富豪の三國家の次女と結婚の約束を取り付けたところ。原作は、この先、まだまだすごい話になっていくので、いったい現代のテレビでどこまで描けるのか、実に楽しみです。

4334740561岸辺のアルバム (光文社文庫)
光文社 2006-04-12

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4344410289銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)
幻冬舎 2007-10

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投稿者 黒沢哲哉 : 2009年2月14日 01:11

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トラックバック時刻: 2009年2月15日 20:14

コメント

あたしもめずらしく銭ゲバみてます。
これ放送しちゃってほんとにいいんすかねぇ・・?

投稿者 ¶猫 : 2009年2月14日 20:08

”ありふれた奇跡”すご~いハマっています。毎回ライブで見て録画もして何度も見ちゃってくるくらいです。 加瀬亮と仲間由紀恵の演技が本当に自然でとてもいい! 四話くらいまではお互い気持ちが通じ始めて、魅かれていく様子がとてもリアルに表現されていました。本当の恋人同士のようです。 お互いを見つめ合うシーンにジーンときて、自分もすっかり恋愛がしてみたくなりました。 それって二人とも演技力があるっていうことですね。 加瀬亮は本当にこの役にぴったりで、すごい演技力!加奈は翔太を振り回しているようでちょっといやな女の子に見えましたが、潔癖すぎるくらいにまじめに人生を考え、前向きに生きていこうという姿に不器用だなと思いつつも同情せずにいらせません。 この先二人はどうなるのでしょうか? 気になってしかたないです。家族が暖かく描かれているのもいいですね。 最近のドラマで若い男女が家族と同居というのはめずらしいです。ベテラン俳優の円熟した演技がまたドラマを盛り上げてくれます。 子供ということが焦点になってそれぞれの家族内の交流がクローズアップされてきているのもさすが山田太一って感じですね。 もう折り返しに来ているのが残念でたまりません。 終わってほしくないです。

投稿者 satoko : 2009年2月15日 00:55

>¶猫 さん
確かに、最近の規制が多いテレビでは異例づくめの作品ですよね。しかし松山ケンイチ、不気味過ぎで、あんな人が実際にいたら、金持ちが家に入れたり絶対しないですよね。まぁ、そこを突っ込んだら話が成立しなくなっちゃうわけですが(笑)。

>satokoさん
satokoさんもご覧になってますか! もう少し話題になってもいいのになーと思いますよねー。
それと、satokoさんに言われて「そうか!」と納得しましたが、確かに男女とも同居ってパターンは珍しいですね。両方の家庭の事情が対比して描かれているところが、それぞれの人物描写に深みを与えているわけで、ここは作品の重要なポイントになっていますね。
自殺未遂経験者という共通キーワードから、「子ども」を巡ってそれぞれが抱える問題というキーワードへと次第に焦点が移っていって、このあとどういう結末をむかえるのか、現時点では全く予測がつきません。

投稿者 黒沢哲哉 : 2009年2月15日 21:04

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