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『野良猫ロック セックスハンター』 (1970年 日活作品)

監督/長谷部安春
脚本/大和屋竺、藤井鷹史
企画/高木雅行、沢田喜代一
撮影/上田宗男
音楽/鏑木創
美術/佐谷晃能
編集/鈴木晄
録音/片桐登司美
出演/梶芽衣子、安岡力也、藤竜也、英美枝
カラー シネマスコープサイズ 85分
「野良猫ロック」シリーズの第3作目。
 米軍が去った後の基地の町立川に、ここを根城とする不良少女グループがいた。そのリーダーであるマコ(梶)は、ある日、生き別れた妹を探す流れ者の男・数馬(安岡)と知り合う。
 一方、「イーグルス」のリーダー・バロン(藤)は、仲間と共に、混血児たちをこの街から追い出そうとしていた。バロンは、かつて姉が米兵に強姦された事から黒人や混血児を嫌悪していたのだ。
 やがてイーグルスの暴走の矛先はマコたちのグループや数馬にまで向けられ、大きな抗争へと発展していく。
 立川基地は、戦後米軍に接収されていたが、滑走路の狭さから1969年に米軍が横田に移転したため、この当時は広大な空き地となっていた。
 街のいたるところに英語の看板が掲げられ、町の中心にはポッカリと空いた広大な荒れ地がある。そんな無国籍で外界から閉ざされたような閉鎖的な街を舞台に、マコたちの行き場のない青春群像が暴力的に描かれていく。
 前作『野良猫ロック ワイルドジャンボ』でアクション映画的な方向に向かいかけたのを、今回再び長谷部安春が監督することで、第1作の空気に無理やり引き戻したような作品となっている。
 それに加えて今回は暴力表現が相当エスカレートしており、破滅的な空気は第1作の何倍にも強まっている。
 学生のころ、オールナイトでこの映画を見たとき、救いのない若者たちの生き方にぼくは激しく感情移入した。あのころ、ぼくの逃れようのない青春の蹉跌を救ってくれたのは、確かにこうした映画の中の若者たちの暴走と挫折だったのだ。
 鈴木清順監督の懐刀としてシュールな脚本をいくつも書いた大和屋竺が、今回も、よく言えば自由奔放、悪く言えば支離滅裂(どちらも褒め言葉です)な脚本を書いており、話はところどころ全く意味不明となっているが、それが逆に日活青春映画末期の刹那的な空気をそのまま切り取る結果となり、この作品を「野良猫ロック」シリーズの中でも最も重要な1本としている。

(2006/09/26)

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